2018年度埼玉県公立高校入試分析(動画解説)はこちら >>
■ 2017年度埼玉県公立高校入試「数学」大問2(3) (4) 解説:石田朋彦 >>
大問1の小説から大問5の作文まで、全体の構成は例年どおりでした。文章量が多く、かつ長いので、時間配分に注意が必要な点もこれまでの傾向どおりです。
大問1の小説は、長さは例年どおりですが、読みやすい作品が選ばれていました。設問も、記述問題を含めて取り組みやすいものが多く、ここでミスなく点数を稼ぐことが肝心だと思われます。
大問2の漢字や語句・文法、大問4の古典についても、特別に難しい出題はありませんでした。
しかし、大問5の説明的文章で出題された二つの記述問題(問2のアと、問4)は、正答を作り上げるのに非常に苦労する問題でした。特に問4は、解答作成に必要な部分はすぐに分かりますが、その部分のまとめ方によって複数の解答が作れそうです。ここで時間を取られて、残りの問題を解ききれない受験生もいただろうと思われます。
記述も含めた総合的な実力を問うという傾向は長い間変化していないので、読む速さ・解く速さを上げつつ、時間配分に注意する対策が求められると言えるでしょう。
事前に発表されていた『サンプル』と問題構成や配点が全く異なっており、多くの受験者が混乱したものと思われます。
学力検査、学校選択ともに、大問ごとの配点はサンプルよりむしろ昨年までの入試問題と似通っていると言えます。
両方に共通の問題も多く、完全に違っていたのは大問3だけでした。
今まで毎年出題されていた折り返しの問題が無くなっており、かつ、学校選択問題では今まで出題のなかった立体の大問が見られます。
『埼玉の数学はこれが出る』というような縛りから解放されたという印象を受けます。
今後はますますすべてのパターンに対応できる力が必要となります。
難易度については、学力検査問題でさえ昨年までと同様か、昨年よりも低くなる可能性があります。数学が抜きんでて得意な生徒以外は差がつきにくい問題であると予想されます。
私立の上位校の問題で訓練していないと対応できない問題もあり、この難易度が続くのであれば、しばらく数学で差はつかないと言えるでしょう。
学力検査問題は、埼玉県のサンプルに近く、大問2のような基本単語を問うだけのものが増えました。よって例年に比べ、点を取りやすい問題になったと思われます。
その反面、学校選択問題では大問4の自由英作の傾向の変更、大問3でサンプルと異なる出題があったことに加えて、長文の難度が高いことから高得点を狙いにくかったと言えるでしょう。
今年度より、40分から50分に時間が変わりました。
昨年度の問題と比べて、今年度の問題の方が解きやすかったと思われます。
しかし、今年度の問題の特色は、
(1)じっくり考えて答えを導き出す問題が多数出題されている
(2)知識だけでは解けず、理由を理解しているか確認する選択肢問題が出題された
(3)昨年出題されていなかった、途中の過程を説明する計算問題が復活した
などが挙げられます。これは、時間が10分延びた影響ではないでしょうか。
総じて今年度の問題は、知識の暗記のみの学習ではなく、本質をしっかり理解して表現する力を身につけていなければ得点につながらない問題だったと言えるでしょう。
今年は資料問題の読解や記述問題に時間を割けるよう10分の試験時間延長が話題になりました。事前のアナウンス通り、今回はこの「10分」というわずかながらの試験時間延長に見合った小変化が見られました。具体的には、資料関連の記号問題・記述問題の増加と難化です。ただし、全体的な傾向は例年とそう大きく変わることはありませんでした。難易度も前年度と比較するとやや難化していますが、平均点はおおむね例年通りに落ち着くと言えるでしょう。