受験生のみなさん、お疲れ様でした。日頃の成果は出せましたか?
今年の入試に対する分析です。参考にしてください。
大きな変更点としては学力検査、学校選択の両問題においてリスニングがすべて英語で放送されるようになりました。これは近年の4技能を重視する英語教育改革を大きく反映したものと言えます。学力検査問題ではこの影響をうけて平均点の下降が予想されます。一方で学校選択問題ではいくつか難問はあるものの、英作文の傾向が昨年と似ていたこと、空所補充に語群によるヒントがついたことなどから平均点はやや上昇するものと思われます。
学校選択問題は、昨年初めて5つになった大問の数を引き継ぎ同様の形式となりました。これが今後も学校選択問題の基本の問題数になると思われます。しかし、ここ2年続いていた『定理の証明』が無くなり、県立入試では非常に珍しい『約束記号』や2年前にも出題された『立体の中の証明』などが出題されたことから、次年度以降も様々なパターンの出題が予想されます。次に学力検査問題についてですが、基本の構成は昨年と同様でした。学校選択問題と共通の問題が難問ですが、全体としては昨年同様の難易度だったと思われます。学校選択問題と学力検査問題に分かれてから3年目ですが、今年度で問題数などの形式は固まったと言えそうです。しかしながら出題の傾向は未だ模索中という印象を受けます。次年度の様子も注意深く見守る必要があるでしょう。
大問1の小説から大問5の作文まで、全体の構成は例年どおりでした。文章量が多く、かつ長いので、時間配分に注意が必要な点もこれまでの傾向と同様です。 大問1の小説は、長さは例年どおりであり、受験生と同年代の生徒を主人公にした、過去に出題された多くの入試問題と共通する傾向の作品でした。 大問3の説明的文章も、昨年とは打って変わって読みやすくなりました。しかしながら、近代の理想である自由・平等を目指した結果として露わになった負の側面を突く典型的な「現代文」の文章であり、中学生には少々歯応えがあったかもしれません。 どちらの文章も、設問自体はそれほど難解ではありません。しかし、記述問題において、解答に用いるべき部分が文章中で何度か言い換えられており、制限字数に収まる解答を作成するのに時間がかかりそうなものがありました。 大問4の古文は、文章自体は平易なものでしたが、主語の省略が多く、内容把握がままならない受験生がいる可能性がありそうです。言い換えれば、省略された主語に意識的であることで、高得点も望めるでしょう。 大問2で出題された漢字や文法、知識事項については、基礎的なものが中心でした。ただ、中には「聞く・話す」技能に関係する出題があり、新学習指導要領による指導を意識したものと捉えられなくもありません。 大問5の作文は、小学生・中学生・高校生を対象にした「読書量」に関する資料をもとにした出題で、珍しいものではありません。「『読書を推進するための取り組み』について考えを書く」という出題の仕方を見落とさず、きちんと資料に基づいて考えを書ければ、多くの受験生にとって、ある程度の得点が望めるところでしょう。 全体を通じて、長めの文章を用いて記述も含めた総合的な実力を問うという傾向は長い間変化していないので、読む速さ・解く速さを上げつつ、時間配分に注意する対策が求められると言えるでしょう。
今年の入試は、難易度が上がった傾向があります。ここ数年、本質をしっかりと理解できていないと解けない問題が出題される傾向にありましたが、今年はそれが特に強い印象があります。また、計算問題が8問出題され、途中の過程を説明する問題も出ています。今年は受験生にとって解きづらい問題が多かったのではないでしょうか。
難易度は例年通りで、急激な難化傾向はみられないが、資料・統計を読み取る設問が増えた分、個々の事例に対して知識を活用して判断する能力が求められている問題でした。